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本サ−ベイランスは、参加医療機関において血液および髄液から分離された各種細菌の検出状況や薬剤感受性パタ−ンの動向を把握するとともに、新たな耐性菌の早期検出等を目的とする。これらのデ−タを経時的に解析し臨床の現場に還元することによって、抗菌薬の安全で有効な使用方法や院内感染制御における具体的かつ確実な情報を提供する。
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2001年4〜6月の間に全国の医療機関より報告された検体数は総数48,754件
(血液43,173件(256施設)、髄液5,581件 (219施設)) であり、髄液検体数はほぼ横ばい、総検体数および血液検体数は前々回
(2000年10〜12月季報)、前回(2001年1〜3月季報)、今回と増加傾向にある。
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2000年7〜9月
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10〜12月
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2001年1〜3月
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4〜6月
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総検体数 |
5,234
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44,720
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47,047
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48,754
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血液検体数 |
4,899
(12)
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39,217
(251)
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41,387
(247)
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43,173
(256)
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髄液検体数 |
335
(10)
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5,503
(216)
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5,660
(207)
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5,581
(219)
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検体陽性率は血液で12.0%(2000年7〜9月;9.8%、同10〜12月;12.5%、2001年1〜3月;11.0%)、髄液で5.8%(2000年7〜9月;9.3%、同10〜12月;5.9%、2001年1〜3月;5.1%)であった。検体数が少なかった2000年7〜9月を除くと、血液、髄液ともに検体陽性率は横ばいであった。
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血液から分離された菌株総数に対する主要分離菌の頻度はStaphylococcus
aureus (20%)、Staphylococcus epidermidis (13%)、Escherichia
coli (9.8%)、Staphylococcus epidermidis 以外のCNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)(8.7%)、Enterococcus
faecalis (5.0%)、Klebsiella pneumoniae (3.9%)、Pseudomonas
aeruginosa (3.4%)と今までの季報(2000年7〜9月期、同10〜12月期、2001年1〜3月期)と同様の傾向を示した。検体採取の際に混入した皮膚常在菌によって分離頻度が実際より高くなっているものがある。なお、血液検体から分離された各菌種ごとの汚染菌の割合は解説の終わりに添付した。
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そのほか従来から院内感染の原因菌として注意が必要とされている菌の分離頻度はCandida
albicans を含むCandida spp. (4.7%)、Enterobacter spp.
(3.2%)、Bacillus spp. (2.5%)、Serratia marcescens (2.3%)、Acinetobacter
spp. (1.6%)、Burkhorderia cepacia (0.4%) であった。
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髄液から分離された菌株総数に対する主要分離菌の頻度はS.
epidermidis (20%)、S. aureus (15%)、S. epidermidis
以外のCNS (12%)、Streptococcus pneumoniae (11%)、Haemophilus
influenzae (4.2%)であり、S. epidermidis の分離頻度が増加した以外は前回の季報と同様の傾向を示した。
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年齢階層別では血液分離株の場合、S. pneumoniae
とStreptococcus agalactiae で二峰性の傾向がみられ (S. pneumoniae:
4歳以下34%, 50歳以上55%、S. agalactiae: 4歳以下15%, 50歳以上73%)、H.
influenzae では88%が4歳以下の小児より分離されていた。髄液分離株の場合ではS. peumoniae
(4歳以下23%, 50歳以上63%) で二峰性の傾向がみられた。また、H. influenzae は全例が4歳以下の小児より分離されており、前回
(100%)、前々回 (97%) とほぼ同様であった。
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S. aureus のMRSAの割合はオキサシリン
(MPIPC) の成績で判断する限り、血液分離株では67%、髄液分離株では86%で、前回とほぼ同様の成績であった。
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S. aureus のバンコマイシンに対する耐性頻度の調査では今までの各季報と同様、調査した株の全てがバンコマイシンに「感性」と判定された。また、CNS、S.
epidermidis についてもバンコマイシン耐性株はみられなかった。
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腸球菌に関しては、VRE (バンコマイシン耐性腸球菌)の動向が注目されているが、今回の調査でもE.
faecalis、E. faecium ともにVREはみられなかった。 |
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S. pneumoniae のペニシリン耐性株の割合は血液分離株で46%
(PISP 30%、PRSP 16%) 、髄液分離株で63% (PISP 50%、PRSP 13%) であった。
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K. pneumoniae やE.
coli は本来第三世代セフェム系抗菌薬に対しては耐性がみられないとされているが、今回の調査では第三世代セフェム系抗菌薬に対して耐性を示す株が若干みられた(血液分離株の第三世代セフェム系抗菌薬に対する耐性株の割合は、K.
pneumoniae の血液分離株においてCAZ耐性株4.8%、E. coli の血液分離株においてCAZ耐性株2.9%
(髄液分離株は数が少ないため検討せず))。近年、ESBLを産生し、第三世代セフェム系抗菌薬に対して耐性を示すK. pneumoniae
やE. coli が院内感染の原因菌として問題となってきているが、今回の調査で耐性を示した株の中にもESBL産生菌が含まれている可能性は否定できない。
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P. aeruginosa では多剤耐性菌の動向に注意を払う必要がある。中でもカルバペネム系抗菌薬に耐性を示すメタロ-β-ラクタマーゼ産生菌は今後広まることが危惧されている。今回の調査では血液分離株における緑膿菌のIPM耐性株の割合は血液分離株で全分離株で29%であった。また、メタロ-β-ラクタマーゼの産生菌はS.
marcescens でもみられているが、S. marcescens の血液分離株におけるIPM耐性株の割合は1.0%であった。しかし、これらのIPM耐性P.
aeruginosa とS. marcescens の中にどのくらいの頻度でメタロ-β-ラクタマーゼ産生菌が存在するのかは今回のサーベイランスでは明らかにできなかった。
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