ICU部門年次推移

ICU部門参加施設で発症した院内感染の年次推移の概要を以下に示した。ICU部門は20007月より開始されたが、2000年の6ヶ月のデータ収集は試行サーベイランスであったため、年次推移は2001年からの推移を示した。2001年から2006年の推移としては@ICUで獲得した院内感染は減少傾向にあり、特に人工呼吸器関連肺炎については増加傾向であったが2005年に減少した。AICUで獲得した院内感染のなかで起炎菌が判明したものの中では、MRSAが増加傾向にあったが2005年に減少した。B起炎菌の中で緑膿菌によるものは減少傾向が見られ、また、多剤耐性菌による院内感染は見られなかった。CVREやVRSAによる院内感染も見られなかった。
なお、これらの傾向については、当部門への参加施設数および参加施設の出入りがあったため、解釈には慎重を期するべきであると考えられる。




ICUで獲得した院内感染の年次推移
(院内感染率:ICU入室後48時間経過後に感染症状のあった患者率)





図1.院内感染に占める耐性菌の割合
ICUで獲得した起炎菌が同定された院内感染のなかで多剤耐性菌が占める割合)

 


※2001
年より2004年まで、ICUで獲得した院内感染では多剤耐性菌による院内感染が増加を続けている。
(2002年6月以降に起炎菌不明情報の収集を始めた)



 

図2.重症度別推移
ICU入室患者のAPACHEスコアーによる階層別重症度の変化


※2001
年より2004年までそれぞれの階層で重症度に関する大きな変化は見られない。





図3.平均APACHEスコアの推移
ICU入室患者の平均APACHEスコアー

※2001
年より2004年まで重症度の平均値に大きな変化は見られない。






図4.起炎菌の経年的変化

ICUで獲得した院内感染のなかで同定された起炎菌の年次変化:菌検出患者数÷ICU入室患者数)


※起炎菌の中ではMRSAによるものが増加を続けているが、緑膿菌によるものは減少傾向にあり、多剤耐性菌による院内感染が見られていない。
(2002年6月以降に起炎菌不明情報の収集を始めた)




図5.感染症別推移
ICUで獲得した院内感染の種類別の年次変化:感染症患者数÷ICU入室患者数)


感染症のなかでは人工呼吸器関連肺炎が増加を続けている。




図6.重症度別平均死亡率
院内感染獲得患者および非獲得患者の重症度別死亡率(2001年〜2005年の集合データ)


※重症度の低い患者で院内感染を獲得すると死亡リスクは大きくなるが、重症度の高い患者では院内感染の影響は明らかではない。





図7.年齢別平均死亡率
院内感染獲得患者および非獲得患者の年齢別死亡率(2001年〜2005年の集合データ)

全ての年齢層にわたって院内感染を獲得すると死亡リスクは大きくなる。




図8.重症度別在院日数
院内感染獲得患者および非獲得患者の重症度別在院日数(2001年〜2005年の集合データ)

全ての重症度にわたって院内感染を獲得すると在院日数は延長する。




図9.重症度別ICU在室日数
院内感染獲得患者および非獲得患者の重症度別ICU在室日数(2001年〜2005年の集合データ)

全ての重症度にわたって院内感染を獲得するとICU在室日数は延長する。




図10.年齢別在院日数
院内感染獲得患者および非獲得患者の年齢別在院日数(2001年〜2005年の集合データ)

全ての年齢層にわたって院内感染を獲得すると在院日数は延長する。




図11.年齢別ICU在室日数
院内感染獲得患者および非獲得患者の年齢別ICU在室日数(2001年〜2005年の集合データ)

全ての年齢層にわたって院内感染を獲得するとICU在室日数は延長する。