
* 1. APACHE
APACHE (Acute Physiological and
chronic health evaluation) system は世界中で広く用いられている集中治療室入室症例の層別化に使用する重症度・予後予測法である。1982年に全米の13施設の集中治療室に入室した5,815症例から多重ロジスティックモデルを用いて作成した予測死亡率算出式に基づいている。この予測式に、血圧、脈拍数、血液ガス分析値、血清ナトリウム、白血球数など12項目の数値と、年齢、慢性疾患の有無などを入力すると個々の症例の予測死亡率を求めることができる。
ある集団の予後を予測する場合には、個々の症例の平均予測亡率を求め、実際の死亡率と比較する。平均予測死亡率を実際の死亡率で割ったものが、標準化死亡比
(standardized mortality ratio : SMR) である。複数の集団を比較する場合には、SMRを比較する。
本邦のコホート研究にAPACHE system が精度の高い判別能を有することは、いままでのいくつかの研究で示されている。
* 2. デバイス日
人工呼吸器、血管留置カテーテル、尿路カテーテルなどの器具(デバイス)を使用した日数の合計を表す。
* 3. ROC:Receiver
operating characteristic curve
連続した値をとる検査法の感度、特異度を比較する場合に用いられる。つまり、実死亡に対する死亡予測の感度を縦軸に、特異度(ただし、数値は左が1、右が0)と取ってプロットするとROCカーブが書ける。通常はカーブの下の面積が0.8以上あれば優れた検査法(死亡予測法)と言われる。
ROC(receiver operated characteristic)カーブは、日本語では受信者動作特性曲線と訳されています。ある一つの検査の精度の評価や、目的が同じ複数の検査法の優劣の比較、あるいは検査で所見ありと判断する値(カットオフポイント)の決定に用いられます。ここではAPACHE scoring systemの精度を示す指標として掲載しました。
縦軸が感度(sensitivity)で、横軸が偽陽性率(1−specificity)です。APACHE scoring systemで求められる予測死亡率においてある死亡率(カットオフポイント、例えば10%)以上を死亡、未満を生存と見做した場合には、表のようなデシジョンマトリクス(2×2テーブル)が作れます。そのマトリックスからその予測死亡率に対する敏感度と偽陽性率が求められ、それが一つの点です。カーブは、予測死亡率を10%毎に変えた場合に得られる点を結んだものです。
The area under ROC curveは、カーブの下の面積です。もしAPACHE scoring systemの予測が全く偶然であるならば、カーブは正方形の左下から右上を結んだ対角線(直線)となります。その面積は、正方形の面積を1とすると0.5です。一方、予測がすべて正しいとすると、カーブは左下の点から垂直に上昇し、右上の角に至り、面積は1です。(図に直線を入れてください)したがって、優劣の比較(カーブが2本以上ある)では面積の大きい方が精度は高く、その事が視覚的に理解できます。
表:2×2テーブル
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実際の死亡数
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実際の生存数
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APACHE予想死亡率>=10%
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a
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b
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APACHE予測死亡率<10%
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c
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d
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感度=a/(a + c)、偽陽性率=b/(b + d)
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