院内感染対策サーベイランス集計・解析結果の概要(7・8・9月分) ○ 集中治療部門サーベイランスは、ICU における感染症の発生状況を把握し、その対策を支援する情報を還元することを目的とする。院内感染状況の把握を通じ、医療機関が自ら行う、ICU
の管理・運営のパフォーマンス評価とその改善に資する情報を医療機関に提供することが可能となる。
○ 集中治療室に入室したデバイス装着患者の院内感染率は、(1)
人工呼吸器装着患者の肺炎発生率が17.2、(2) 血管留置カテーテル装着患者の血流感染の発生率は1.1、(3)
尿路カテーテル装着患者の尿路感染は0.2であった。アメリカの内科外科混合ICU(NNIS/CDC)の感染率と比較すると以下のごとくである。
(注)
カテ血流感染 : カテーテル関連血流感染 ○ 集中治療室に入室した患者の院内感染率は、5.1%であり、その内訳は、人工呼吸器関連肺炎(3.1%)、創感染(1.5%)の順であった。
(注) 肺炎 : 人工呼吸器関連肺炎 感染率=(感染患者数/各ディバイスの延べ装着日数)×1,000
○ICU での感染症の起炎菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が約30%を占める。ICUにおける感染症の起炎菌の中ではMRSA(19/71)が最も多く、ついで感性Pseudomonas aeruginosa(14/71)、感性 Klebsiella pneumoniae(4/71)、Acinetobacter baumanii(4/71)であった。その他、耐性菌としては、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌属(CNS)(2)、Serratia (2) がみられている。
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