2005年 年報(1〜12月)

新生児集中治療室(NICU)感染サーベイランスは、NICUにおける感染状況を経時的に集積し、感染症動向を把握することにある。 しかし、NICUへの入院総数は他の部門に比較して非常に少なく、さらに主なる入院児となる低出生体重児の入院期間は、 1,000g未満で3ヶ月以上、1500g未満でも2ヶ月以上と非常に長期となるため、 経年的な変化を読むことが最良である。また対象となる入院数が少ないために 1施設単位での感染症動向の解析は非常に困難であるので、 多施設の参加ができるサーベイランスの基本を形作っている。
8施設で総入院数1,565名の解析データである。
@出生体重、A転帰、B入院日数、C症状、D起因菌等のデータを用いて、 @感染率、Aリスク調整感染率、B体重別起炎菌別感染症例数、C体重別菌耐性・感性別感染症例数を検討した。
リスク調整感染率に関しては、呼吸器装着日数で調整した呼吸器関連肺炎・中心静脈ルート挿入日数で調整した血流感染の二つを 米国院内感染症サーベイランス(NNIS)のデータ(2002〜2004年報告)と比較した。 デバイス装着率は両者ほとんど変わらないが、肺炎は1,000g以下のグループ以外は明らかに高く、 血流感染は全ての出生体重群において低い感染率であった。
感染率(1,000分率)=
(感染患者数/各ディバイスの延べ装着日数)×1,000

NICU入院児1,565名のうち感染患児数は113人で感染率は7.2%であった。
感染症の内訳は、敗血症29例、肺炎26例、皮膚感染症13例、血流感染8例、髄膜炎/脳室炎7例、尿路感染6例、腸炎4例、カンジダ症4例、その他50例(その他のうち28例は菌不明であり、CRP上昇のみの症例が主)であった。
※症例数は併発した症例はそれぞれを1として計上しています。
感染症例の起炎菌の内訳はMRSA31株(21%)、MSSA15株(10%)、CNS14株(9.5%)、緑膿菌・カンジダ8株(各5.4%)の順であった。菌不明が39例(26.5%)あった。

表1:感染患者数/入院数(率)
表2:感染症発症回数÷PD×1,000
表3:起炎菌別感染症数
表4:菌耐性・感性別出生体重別感染数
参加施設数 8
対象患者数 1,565